西蒲区にある国指定史跡『菖蒲塚古墳』と『歯地蔵』

新潟県西蒲区竹野町にある『菖蒲塚古墳(あやめづかこふん)』。
昭和5年4月25日に国指定史跡に指定された前方後円墳です。その全長は53mもあり、同型の古墳では新潟県内最大規模を誇る大きさです。
その隣には円墳の「隼人塚古墳」があり、地層によって性質の異なる土を交互に盛ることでより強度を高めていたことも分かっています。
また、後円部からは青銅鏡一面、勾玉1点、管玉7点が出土されています。
他にも周溝内からは土器が出土されており、研究などから古墳が築かれた時期はおよそ1650年前だと考えられています。
その中の青銅鏡は大型国産鏡で、ヤマト王権からさずかった第一級の宝器と考えられる代物です。そのことから被葬者に対する想いの強さを伺うことができます。
そして、菖蒲塚古墳の墳丘は仏の教説を書いた経典を埋納していたとも言われ、平安時代の終わりから室町時代にかけて経塚としても使われていました。
経塚からは経典を収めるために使う筒型の入れ物“経筒”などが出土され、その経筒は国の重要文化材にも指定されています。
■菖蒲塚古墳周辺のスポット
菖蒲塚古墳の周辺には「ごりんの滝」や「歯地蔵」があります。
2016年6月1日には恒例になっている2つのスポットでのお祭りが開かれ、地元の方々も参加しました。
「ごりんの滝」では山の安全や水の保全を祈り僧侶がお経を読み上げ、地元の方々も一緒に祈りを捧げます。
「歯地蔵」では、その名の通り歯の健康を祈りながらお経と地元住民の祈りが捧げられました。
少し珍しく感じる歯のお地蔵様。昔は歯医者というものがなく、近しい存在として「口中医」がありましたが、身分上一部の人々しかかかることができなかったと言われています。
そのため、一般庶民や地方に住む人々はその痛みに耐えるか、独自の治療法などを試すなどしていたそうです。そんな中で頼りにされたのが、“歯の神様”でした。
そんな“歯の神様”を今でも大切にし、西蒲区の地元の方々の手でお祭りが開かれています。
今でこそ沢山の歯医者があり、一般庶民でも不自由なく治療をしていただけますが、感謝の気持ちを忘れずにいたいですね。