西蒲区が誇る“新潟市指定有形民俗文化財”『のぞきからくり』

新潟県西蒲区には『のぞきからくり』という文化財があります。
『のぞきからくり』とは、江戸時代から明治の間にかけて行われていた大道芸のひとつです。紙芝居のような絵をお客さんがレンズ越しにのぞき、絵を次々に差し替え物語が進んでいく見せ物で、映画の先駆けのような存在でした。
その物語を進めるのは「口上師」と呼ばれる演者で、「からくり節」に乗せて男女で掛け合うなどして物語を作っていました。
■日本で唯一の “実演可能” な『のぞきからくり』
のぞきからくりは、映画の普及と共にその数も減っていき、昭和初期にはごくわずかしか残っていなかったとされている貴重な文化財です。
そんなのぞきからくりは、今や全国で3台しか残っておらず、その中でも当時のまま実演可能なものは新潟県西蒲区に保存されている1点のみ。
その貴重なのぞきからくりが展示されているのが、新潟県西蒲区の『巻郷土資料館』です。
実際に見ることのできるのは「幽霊の継子いじめ」という演目ののぞきからくりで、新潟市指定有形民俗文化財にも指定されているため、これを目当てに訪れる人も多いのです。
他にも、実演のための屋台こそなかったものの、「八百屋お七」という演目の絵も残っており、復元した屋台を使い口上することが可能になりました。
他にも、巻郷土資料館には考古資料など貴重な品が沢山展示されています。
■『のぞきからくり』の絵の立体感
のぞきからくりの絵は“押絵”という立体的なものでできています。
この“押絵”は、着物や洋服、髪の毛などの部分に綿を詰めて立体感を出し、実際の布などをかぶせて絵にしたもので、その繊細な作りは物語により躍動感を生み出します。
中の絵のみの展示も行っているので、近くでじっくり楽しむことも可能です。
■『のぞきからくり』を来世にも
のぞきからくりは、その素晴らしさを来世にも残すべく実際に口上をしたりイベントを行ったりと、保存や伝承、普及や活性化への取り組みも行われています。
便利な世の中になっていく中で、人の温もりを感じる『のぞきからくり』のような見せ物がずっと守られていくと良いですね。